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蕪栗沼
蕪栗沼は、田尻地域の北東部にあります。登米市と栗原市との境界線に位置し、その面積は約100ha程で北上川水系の自然堤防と丘陵地に囲まれた低湿地です。
洪水時には水量を調節する遊水地となっており、人が立ち入りできないため田尻地域では唯一干拓されずに残された所です。その結果、東日本の中でも大変に貴重な自然環境が残されている湿地となりました。
そのため、多くの冬の渡り鳥の越冬地として知られ、特に9月下旬から飛来するマガンは10万羽を超えるほどで、その数は世界一とさえ言われています。2月下旬まで塒(ねぐら)として越冬します。
地元では、マガンの保護に対する認識が高まり、平成9年(1997)には隣接の干拓地、白鳥地区の田んぼ約50haが沼に復元され総面積が広げられました。
平成17年(2005)には、地域の努力が実って「蕪栗沼とその周辺水田」は、湿地保全の国際条約「ラムサール条約」の正式な登録湿地となり、県内外から多くのバードウォッチャーが訪れます。
周辺の水田では、冬の間に田畑に水を張る「ふゆみずたんぼ」(冬期湛水)を実施し、ガン類のねぐらを分散する取り組みを行っており、これにより農地と湿地の両機能を併せ持つ「農業湿地」という新しい価値観が広まりつつあります。
また、現在までに鳥類219種、魚類33種、貝類10種で絶滅危惧種の植物は5種が確認されています。
10万羽を超えるマガンの早朝の「飛び立ち」では、地響きのような轟音を立てて一斉に舞い上がります。周辺の水田の上空を覆いつくす様子は、見る誰しもを圧倒する光景です。
なお、近隣にはラムサール条約登録地として化女沼や伊豆沼もあります。
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